音声認識IVRとは?プッシュ型との違い・費用・選び方を解説
最終更新日:2026年10月6日
執筆者:デジタルマーケティングチーム
「IVRのガイダンスが長くて、お客様が途中で電話を切ってしまう」「番号を押す操作が分かりにくいと言われる」――そんな悩みを解決する手段として注目されているのが音声認識IVRです。
音声認識IVRは、プッシュボタンではなくお客様が話した言葉をシステムが聞き取り、用件に応じて自動で案内・振り分けを行う電話自動応答の仕組みです。
本記事では、法人電話サービス「MOT」シリーズを開発からサポートまで一貫して手がける弊社が、音声認識IVRの仕組み、プッシュ型IVRやボイスボットとの違い、導入メリット・注意点、費用相場、選び方までを分かりやすく解説します。
- コンテンツの目次
1.音声認識IVRとは?
音声認識IVRとは、電話をかけてきたお客様の発話を音声認識技術で聞き取り、その内容に応じて自動で案内や担当窓口への振り分けを行うIVR(電話自動応答システム)のことです。
従来のIVRは「〇〇の方は1番を、△△の方は2番を押してください」とプッシュボタン(DTMF信号)で用件を選ぶ方式が主流でした。音声認識IVRでは、お客様が「住所を変更したい」「予約をキャンセルしたい」と話すだけで、システムが用件を判断して次の案内へ進みます。
IBMの解説でも、自然言語処理の発展によって発信者は「自分が何を必要としているかを口頭で伝えられるようになった」と説明されており、IVRはプッシュ操作から“会話”へと進化しつつあります(出典:IBM「IVR(音声自動応答)とは」)。
音声認識IVRの仕組み
音声認識IVRは、主に次の4つの技術を組み合わせて動いています。
①音声認識(ASR):お客様の声をテキストに変換します。
②意図理解(自然言語理解):テキストから「何をしたいのか(用件)」を判定します。
③シナリオ・応答生成:判定した用件に合わせて、案内内容や転送先を決定します。
④音声合成(TTS):回答テキストを自然な音声で読み上げます。
たとえば「明日の予約を変更したいんですが」という発話であれば、①で文字に起こし、②で「予約変更」という用件を判定、③で予約担当の内線へ転送するか日時のヒアリングへ進むかを決め、④で「予約の変更ですね。ご希望の日にちをお話しください」と応答する、という流れです(参考:03plusエンタープライズ「IVRと音声認識を組み合わせる『ボイスボット』とは?」)。
聞き取り方式は大きく2種類
音声での受け付け方には、大きく分けて次の2つの方式があります。
単語・キーワード認識型
「予約」「キャンセル」「料金」など、あらかじめ決めた単語を話してもらう方式です。ガイダンスで「ご用件を『予約』『変更』『その他』のいずれかでお話しください」と案内するため、認識の対象が限られ、精度を安定させやすいのが特徴です。比較的シンプルな設定で始められる一方、決められた言葉以外を話されると判別が難しくなります。
自由発話(自然言語)型
「先週注文した商品がまだ届かないんだけど」のように、お客様が普段どおりの言葉で話した内容から用件を推定する方式です。言い回しの揺れに対応できるため利用者の負担は小さくなりますが、想定フレーズの準備やAIの学習・チューニングに手間がかかり、費用も上がりやすくなります。
最初は単語認識型で主要な用件だけを音声化し、運用データがたまってから自由発話型へ広げる、という進め方もよく選ばれています。
プッシュ型IVRとの違い
プッシュ型IVRと音声認識IVRの違いを整理すると、次のとおりです。
| プッシュ型IVR | 音声認識IVR | |
|---|---|---|
| 操作方法 | 番号ボタンを押して選ぶ | 用件を話す(自由発話・単語) |
| 選択肢の数 | 1階層あたり数個まで。多いと階層が深くなる | 多数の用件を1回の発話で判別できる |
| 聞き取れる情報 | 押した番号のみ | 氏名・用件・日時など発話内容 |
| 精度 | ボタン入力のため誤判定はほぼない | 騒音・方言・話し方で誤認識の可能性あり |
| 費用 | 比較的安価(クラウド型で月額数千円〜) | 高くなりやすい(AI利用料・設計費など) |
プッシュ型は低コストで確実に振り分けられるのが強みで、音声認識型は用件が多岐にわたる窓口や、ボタン操作が負担になる利用者層に向いています。どちらが優れているというより、窓口の性質に合わせて使い分ける・組み合わせるのが現実的です。
ボイスボットとの違い
「ボイスボット」はAIが音声で会話しながら用件を最後まで完結させる仕組みを指すことが多く、音声認識IVRと重なる部分が大きい言葉です。厳密な線引きはベンダーによって異なりますが、一般的には次のように整理できます。
・音声認識IVR:音声で用件を聞き取り、適切な窓口や案内へ「振り分ける」ことが主目的
・ボイスボット:AIとの対話で、予約受付や問い合わせ回答まで「完結させる」ことが主目的
つまり、音声認識IVRはIVRの入口を音声化したもの、ボイスボットはオペレーターの応対そのものをAIに置き換えるものとイメージすると分かりやすいでしょう。
音声認識IVRが注目される理由
背景にあるのが、従来型IVRの「途中離脱」問題です。Foonz株式会社が2025年10月にカスタマーサポート部門の責任者・担当者1,005人を対象に行った調査では、IVRの課題の第1位は「ユーザーが途中で離脱しやすい」(48.1%)でした。同じ調査で、今後強化したい方向性として最も多かったのは「AI自動応答との連携」(47.9%)です(出典:PR TIMES「IVR(自動音声応答システム)の課題、第1位は『ユーザーの途中離脱』!」)。
ボタン操作の煩わしさを音声で解消できる音声認識IVRは、こうした現場の課題に直結する解決策として関心が高まっています。

特に、「営業のお断りばかりで手が止まる」「社内の担当者に取り次ぐだけの電話が多い」などの課題がある場合、自動音声応答(IVR)の導入が効果的です。
本資料では、クラウド電話「MOT/TEL」のIVR機能を活用して電話対応の無駄を減らし、
オフィス全体の生産性を高める方法を紹介しています。...
2.音声認識IVRの導入メリット
階層メニューが不要になり離脱を防げる
プッシュ型IVRで用件を細かく分けようとすると、「1番→3番→2番」のようにメニューが何階層にも重なり、ガイダンスを最後まで聞かないと先に進めません。音声で受け付ければ用件を一言話すだけで目的の窓口に近づけるため、待ち時間と操作ミスが減り、途中離脱の抑制が期待できます。
用件を事前にテキスト化できる
音声認識を使うと、お客様が話した内容をテキストとして記録できます。オペレーターに転送する前に用件や氏名を把握できるため、「同じ説明を何度もさせられる」という不満を防ぎ、対応時間の短縮にもつながります。蓄積したテキストを分析すれば、問い合わせが多い用件の傾向をつかみ、FAQやWebサイトの改善に活かすことも可能です。
24時間365日の受付が可能
営業時間外や休日でも、システムが用件を聞き取って受付・記録できます。「営業時間は?」「お店までの道順は?」といった定型的な質問に自動で答えたり、折り返し希望を受け付けたりすることで、夜間・休日の取りこぼしによる機会損失を防げます。
高齢者や運転中の方も使いやすい
スマートフォンで通話中に画面のテンキーを表示する操作は、高齢の方には分かりにくいことがあります。また、運転中や作業中で手がふさがっている方はボタンを押せません。話すだけで操作が完了する音声認識IVRは、こうした利用者にとって負担の少ない窓口になります。
オペレーターの負担・人件費を削減できる
定型的な問い合わせを自動応答で完結・振り分けできれば、オペレーターは専門的な対応に集中できます。コールセンター向けメディアの記事では、音声で用件を把握する「ボイスIVR」を導入したクレディセゾンで、非対人での対応完了率が40%向上し、月10万件あったオペレーターへの着信を30%削減した事例が紹介されています(出典:コールセンター・ナビ「プッシュ式IVRはもう古い?声でAIが用件を把握するボイスIVRとは」)。
なお、プッシュ型IVRでも振り分けによる効率化効果は得られます。弊社でIVR機能を導入した際には、1日あたりの平均受電件数が347.8件から272.5件へと約2割削減され、その多くが営業電話や間違い電話でした。まずはプッシュ型で不要な電話を減らし、その上で音声認識を加えるというステップも有効です。
3.音声認識IVR導入の注意点
認識精度は環境・話し方に左右される
音声認識の精度は年々向上していますが、周囲の騒音、電波状況、方言、早口、珍しい固有名詞などによって誤認識が起こることがあります。誤認識すると意図しない窓口へ転送されたり、聞き返しが続いたりして、かえってお客様のストレスになりかねません。聞き取れなかった場合にプッシュ操作やオペレーターへ切り替える「逃げ道」を必ず用意しておくことが重要です。
シナリオ設計と継続的なチューニングが必要
音声認識は、導入すれば自動的に賢くなるわけではありません。お客様がどんな言い回しで用件を伝えるかを想定し、用件のカテゴリ定義や想定フレーズを準備する必要があります。運用開始後も、認識できなかった発話を確認して設定を見直すチューニングが欠かせません。最初から全用件を音声化するのではなく、問い合わせの多い用件から段階的に広げるのが成功の近道です。
プッシュ型より費用が高くなりやすい
音声認識やAIの利用料、シナリオ設計費が加わるため、プッシュ型IVRに比べて初期費用・月額費用ともに高くなる傾向があります。受電件数が少ない窓口では費用対効果が合わない場合もあるため、「どの用件を自動化すれば、どれだけ工数が減るか」を試算したうえで導入を判断しましょう。具体的な相場は次章で紹介します。
個人情報・録音データの取り扱い
音声で受け付ける場合、氏名や電話番号、問い合わせ内容などの個人情報を音声・テキストで取得します。録音やテキストデータの保存期間、アクセス権限、外部AIサービスへの送信有無などを事前に確認し、プライバシーポリシーとあわせて運用ルールを整備しておきましょう。
4.音声認識IVRの費用相場
音声認識IVRの費用は、認識できる用件の数や会話の複雑さ、受電件数によって大きく変わります。一般的な目安は次のとおりです(出典:CXジャーナル「IVR費用相場と選び方:IVRからボイスボット(AI自動応答)まで徹底比較」)。
| 種類 | 初期費用の目安 | 月額費用の目安 |
|---|---|---|
| クラウド型IVR(プッシュ型) | 3万〜5万円程度 | 3,000円程度〜 |
| オンプレミス型IVR | 数百万〜数千万円 | 数万円程度 |
| ボイスボット(AI自動応答・音声認識型) | 5万〜80万円程度 | 1万〜35万円程度 |
上記はあくまで相場で、業種や導入範囲によって変動します。音声認識型は、通話分数や認識回数に応じた従量課金が加わるサービスも多いため、月額の固定費だけでなく、自社の受電件数で試算した総額を比較することが大切です。
「いきなり高額なAIを入れるのは不安」という場合は、低コストなクラウド型IVRで振り分けを始め、AI音声応答をオプションとして後から追加できるサービスを選ぶと、リスクを抑えながら段階的に導入できます。
5.音声認識IVRの活用シーン・導入事例
金融・クレジットカード
カードの紛失・盗難、住所変更、利用明細の確認など、用件の種類が多い金融業界は音声認識IVRと相性のよい分野です。前述のクレディセゾンの事例のように、用件を音声で聞き取って自動応答に誘導することで、オペレーターへの着信を大きく減らした例があります。
医療機関(病院・クリニック)
診療時間の確認や予約の変更・キャンセルなどを音声で受け付けることで、受付スタッフが来院患者の対応に集中できます。高齢の患者が多い医療機関では、ボタン操作が不要な点も大きなメリットです。
飲食店・ホテル
「営業時間」「道順」「予約方法」といった定番の質問に自動で回答すれば、ピークタイムでも電話に手を取られません。音声案内に加えて、地図や予約サイトのURLをSMSで自動送信する仕組みを組み合わせると、口頭では伝えにくい情報もスムーズに届けられます。
自治体・公共サービス
住民票などの証明書の取得方法、ごみの出し方、イベント情報など、問い合わせが集中しやすい窓口で活用が検討されています。年齢層の幅が広い住民に対応するため、話すだけで案内が受けられる仕組みは有効な選択肢になります。
6.音声認識IVRの選び方と導入ステップ
音声認識IVRの選び方(5つのポイント)
①認識精度とチューニング体制
デモや無料トライアルで、自社の商品名や業界用語が正しく認識されるかを確認しましょう。導入後の精度改善をベンダーがどこまで支援してくれるかも重要です。
②プッシュ操作・有人対応への切り替え
認識できなかった場合に、プッシュ操作やオペレーター、電話代行へスムーズに切り替えられるかを確認します。
③既存の電話番号・電話環境との連携
今使っている代表番号やビジネスフォン、クラウドPBXのまま導入できるか、内線転送や携帯電話への転送が可能かをチェックしましょう。
④料金体系(固定費+従量課金)
月額費用だけでなく、通話分数・認識回数・SMS送信などの従量費用を含めた総額で比較します。
⑤段階的に機能を追加できるか
まずはプッシュ型の振り分けから始め、必要に応じて音声認識・AI応答を追加できるサービスなら、初期投資を抑えられます。
失敗しない導入ステップ
導入は、次のステップで進めると失敗のリスクを下げられます。
①現状の受電内容を分析:どんな用件の電話が、どの時間帯に、何件かかっているかを把握します。
②自動化する用件を絞り込む:件数が多く、回答が定型的な用件から優先順位をつけます。
③振り分けの仕組みを整える:まずはプッシュ型IVRで部署・用件ごとの振り分けを実現します。
④音声認識・AI応答を追加:問い合わせの多い用件から音声認識に置き換えます。
⑤運用データを見て改善:認識できなかった発話や途中離脱のデータを確認し、シナリオを調整します。
IVRの具体的な設定項目は、下記の「IVR機能」ページでも解説しています。
MOTシリーズでのIVR設定項目を見る
7.よくある質問(音声認識IVR)
Q. 音声認識IVRとは、簡単に言うと何ですか?
A. 電話をかけてきた方が話した言葉をシステムが聞き取り、用件に応じて自動で案内や担当窓口への振り分けを行う電話自動応答の仕組みです。
Q. 音声認識IVRとプッシュ型IVRはどちらを選ぶべきですか?
A. 用件の種類が少なく確実に振り分けたい場合はプッシュ型、用件が多岐にわたる場合やボタン操作が負担になる利用者が多い場合は音声認識型が向いています。両方を組み合わせる運用も一般的です。
Q. 音声認識IVRの費用はどのくらいですか?
A. ボイスボット(AI自動応答)の場合、初期費用5万〜80万円程度、月額1万〜35万円程度が一般的な目安とされています。プッシュ型のクラウドIVRなら月額数千円から導入できます。
Q. 方言や早口でも認識できますか?
A. 認識精度は向上していますが、騒音や方言、早口などで誤認識が起こる可能性はあります。聞き取れなかった場合にプッシュ操作や有人対応へ切り替えられる設計にしておくことが大切です。
Q. 音声認識IVRとボイスボットの違いは何ですか?
A. 一般的に、音声認識IVRは音声で用件を聞き取って窓口へ振り分けることが主目的で、ボイスボットはAIとの対話で問い合わせ対応を完結させることが主目的です。ただし、ベンダーによって呼び方の定義は異なります。
Q. 小規模な会社や店舗でも導入できますか?
A. 可能です。まずは月額数千円のクラウド型IVRで振り分けを始め、必要に応じてAI音声応答を追加する方法なら、小規模事業者でも無理なく導入できます。
8.AI音声応答にも対応予定の「MOT/IVR」
「音声認識IVRに興味はあるけれど、いきなり高額なシステムを入れるのは不安」という企業におすすめなのが、弊社の「MOT/IVR」です。MOT/IVRは、あらゆる電話の着信を最適な窓口へ振り分けるIVRサービスで、月額2,980円〜(税別)から利用できます(SMS送信料や連携サービスの利用料は別途)。
現在はプッシュ操作による自動振り分けを中心に、次のような機能を組み合わせて電話応対を効率化できます。
・IVR自動振り分け:用件ごとに担当部署・担当者へ自動転送
・SMS自動送信:架電元の携帯電話へ住所・道案内・予約サイトなどの案内文を送信
・電話代行連携(オフィスのでんわばん):専任スタッフによる一次対応で業務の中断を防止
・ボイスメール:留守番電話の内容をメールで受け取り
・外線転送・通話録音:固定電話・携帯電話への転送、通話の自動録音
さらに、AI音声自動応答機能を今後提供予定です。AIが電話に応答してテンプレートに沿ったヒアリングを行う機能や、事前に設定したFAQをもとに音声認識で質問を聞き取り、適切な回答を自動で案内する機能を予定しています。「営業時間」「道順」「予約方法」といった定番の問い合わせや、営業時間外・外出中の対応負担の軽減に役立ちます。
まずはプッシュ型IVRとSMS・電話代行で電話応対を整え、AI音声応答の提供開始後にオプションとして追加する――そんな段階的な導入ができるのがMOT/IVRの強みです。
※AI音声自動応答機能の提供時期・料金は、決まり次第公式ページでご案内します。

本資料では、IVR機能を活用して電話対応の無駄を減らし、オフィス全体の生産性を高める方法を紹介しています。...
9.まとめ
音声認識IVRは、お客様の発話を聞き取って用件を判断し、自動で案内・振り分けを行う次世代の電話自動応答です。階層メニューによる途中離脱を防ぎ、高齢者や手がふさがっている方にも使いやすい一方で、認識精度・シナリオ設計・費用といった注意点もあります。
失敗しないためには、受電内容を分析して自動化する用件を絞り込み、プッシュ型IVRで振り分けの土台を作ってから音声認識・AI応答へ段階的に広げることがポイントです。
月額2,980円〜で始められ、AI音声応答にも対応予定の「MOT/IVR」で、まずは電話応対の効率化から始めてみてはいかがでしょうか。
自社開発のクラウドPBX「MOT/TEL(モッテル)」の立ち上げ期よりプロジェクトに参画。営業・マーケティングの両側面から、累計33,000社以上の導入実績を持つプロダクトの成長を支える。
オンプレミスからクラウドへの移行期における通信インフラの変遷を熟知しており、通信品質やセキュリティ、スマホ内線化の技術的要件に関する深い造詣を持つ。単なるスペック紹介に留まらない、ベンダー視点での「失敗しないPBX選び」を提唱している。
カテゴリ: IVR・電話自動応答 関連キーワード: IVR, 自動音声ガイダンス, 自動音声応答, 自動音声案内, 電話自動応答

