IP電話(050番号)を使うのに向いている企業は?メリットから注意点まで

050番号を使ったIP電話は、IP電話同士であれば通話料が24時間無料など通信コストの削減のメリットがあり、個人事業主や法人で利用されています。一方で、IP電話は一般的な電話と違い発信できない番号があるなど、デメリットもあります。
本記事では、IP電話とはどのようなサービスなのか?という基礎的な知識から、導入メリット・デメリット、IP電話を使ったクラウド電話をご紹介致します。
- コンテンツの目次
1.IP電話とは?
IP電話とは、インターネットを通じて電話をするサービスのことです。インターネットではパケットと呼ばれる小さなデータでやり取りを行いますが、IP電話では音声もパケットでやり取りを行います。
この技術はVoIP(Voice over Internet Protocol)と呼ばれ、様々な場面で利用されています。例えば、LINEやSkypeなどもIP電話の一種です。電話番号がなくても同一のアプリ間で無料通話ができるサービスですが、こちらもVoIPの技術が利用されています。
一方、IP電話と言えば「050番号」と連想する方も多いでしょう。050番号を使用するこちらもIP電話です。これらのことからわかるように、IP電話の中にも実は種類があります。
2.IP電話の種類
インターネットを通じて電話をする「IP電話」サービス。先ほど簡単に触れたように、IP電話にもいくつか種類があります。
- 【IP電話の種類】
- IP電話の種類1:電話番号を持たないIP電話
- IP電話の種類2:050番号を使って発着信するIP電話
- IP電話の種類3:市外局番(03や06など)を使って発着信するIP電話
IP電話は上記の様に大きく3つに分けることができます。
IP電話の種類1:電話番号を持たないIP電話 電話番号を持たないIP電話は、ビジネスではなく個人間でよく利用されています。LINEやSkype以外にも「Viber Messenger」「Discord」「WeChat」「ハングアウト」「Messenger」では、アプリ間で電話番号を持たずに通話が可能です。
一方で、同じIP電話でも、050番号や市外局番間での発信や着信はできません。

IP電話の種類2:050番号を使って発着信するIP電話 050番号を使って発着信するIP電話は、個人でもビジネスにおいても利用されます。
050番号を使ったIP電話では、番号を使わないIP電話同様にスマホアプリを使って発着信が可能です。ビジネスでよく利用される固定電話を利用したい場合は、一般的なIP電話対応の会社用の電話(ビジネスフォン)、もしくはクラウドタイプの会社用電話を利用して050番号の発着信を行います。
050番号を使ったIP電話では、同じサービスの050番号間の通話が無料です。また、市外局番を使ったIP電話やIP電話以外とも通話が可能です。ただし、110(警察への緊急通報)や119(消防・救急への緊急通報)など発信できない番号があり、注意が必要です。

IP電話の種類3:市外局番(03や06など)を使って発着信するIP電話 最後は、03や06など市外局番を使用した光回線(光ファイバー回線)を介したIP電話サービスです。NTTが提供するひかり電話を利用している企業は、既にIP電話を利用していることになります。
ひかり電話も、050番号を使ったIP電話同様に、IP電話対応の一般的な会社用の電話(ビジネスフォン)・クラウドタイプの会社用電話サービス両方で利用できます。IP電話の中でも、市外局番を使用するIP電話(ひかり電話)は通話が安定しているため評判です。
また、050番号を使ったIP電話の様に発信ができない番号などもないため、制限なく利用できます。

上記のように、IP電話は大きく3種類に分かれています。従来の電話や市外局番を利用するIP電話(ひかり電話)と比較すると、電話番号を持たないIP電話と050番号を使ったIP電話はメリット・デメリットが似ています。
また、同一のアプリ間しか電話のできないIP電話はビジネス利用に向きませんが、050番号のIP電話とひかり電話はビジネス利用も可能です。下記でそれぞれメリット・デメリットをご紹介していますので比較検討してみてください。
3.IP電話(ひかり電話以外)のメリット
まずは光電話以外のIP電話導入メリットをご紹介します。
IP電話のメリット1:無料通話がある 電話番号を持たないIP電話と050番号を使ったIP電話はそれぞれ同一のアプリ間・同一のサービス間で無料通話があります。
遠距離にある支店・拠点や、外出の多い営業担当とのやり取りを電話番号を持たないIP電話や050番号を使ったIP電話で行うことで通信費の削減が可能です。
IP電話のメリット2:電話回線が不要 従来の電話や市外局番を利用するIP電話(ひかり電話)は事務所などに電話回線が必要です。一方で、電話番号を持たないIP電話と050番号を使ったIP電話は電話回線なしで電話を利用できます。
IP電話のメリット3:工事不要 電話番号を持たないIP電話と050番号を使ったIP電話は、電話回線だけでなく専用の機器(PBX/主装置)がなくても利用できるサービスがあります。
従来の電話では、電話機線を事務所へ引いてPBXや主装置へ繋いで利用するため工事が必須でしたが、電話番号を持たないIP電話と050番号を使ったIP電話では機器も工事も必要ありません。そのため導入費用を抑えることができます。
IP電話のメリット4:即日利用も可 個人間でよく利用されるLINEやSkypeなどのIP電話は、アプリをインストールして即日電話を利用可能できます。同様に、050番号を使ったIP電話サービスでも即日発行できるサービスもあります。個人事業主ですぐに事業用の電話番号がほしい、というケースなどで役立ちます。
4.IP電話のデメリット
ひかり電話以外のIP電話のデメリットには、以下のようなものがあります。
IP電話のデメリット1:番号が変わってしまう 会社番号を市外局番で運用していた場合、050番号での運用へ切り替えると今まで利用していた会社の番号(市外局番)は利用できなくなります。会社の番号が変われば変更のアナウンスを顧客や取引先へ行わなければなりません。印刷物に記載があれば刷り直しやHPの修正など人件費などのコストがかかります。
また、LINEやSkypeなどアプリ間のみのIP電話は、会社の電話としては利用できません。
IP電話のデメリット2:不信感 会社の電話番号として050を利用している企業は少なく、あまり認知されていません。そのため、特にBtoCにおいては050番号から着信があると不信に思う方も少なくないでしょう。
IP電話のデメリット3:通話品質が悪いサービスもある IP電話の中でも、特にアプリ間でのみ無料通話ができるタイプではサービスごとに通話品質が異なります。中には固定電話に近い品質のサービスもあれば、途切れ途切れの音声・聞こえないなど品質が悪いサービスもあります。
IP電話を利用したサービスでは、一般的に1 か所のデータセンターに接続が集中するため、時間帯によっては通話が不安定になる場合があります。
IP電話のデメリット4:発信制限がある ひかり電話以外のIP電話は発信制限があります。アプリ間のみのIP電話は同じアプリ以外と通話をすることができません。
050番号を使うIP電話も110(警察への緊急通報)や119(消防・救急への緊急通報)など発信できない番号があります。利用できない緊急ダイヤルは下記の通りです。
- 【クラウドPBXで発信できない緊急ダイヤル】
- 110:警察への緊急通報
- 119:消防・救急への緊急通報
- 118:海上事件・事故の緊急通報
- 177:天気予報
- 117:時報
- 115:電報の申し込み
- 113:設定・トラブルサポート
- 144:迷惑電話お断り
- 0570:ナビダイヤル など
5.ひかり電話のメリット
次に市外局番を利用するIP電話(ひかり電話)のメリットを見ていきましょう。
ひかり電話のメリット1:市外局番を継続利用できる ひかり電話は、従来の電話の様に市外局番を継続して利用することができます。通信コストのために仮に050番号での運用へ切り替えるとすると、今まで利用していた会社の番号(市外局番)は利用できなくなります。
ひかり電話であれば、現在利用している会社の番号を継続して利用することや新規で市外局番を取得することができます。
ひかり電話のメリット2:安心感 03や06と言った市外局番を利用するひかり電話では、050番号に比べて安心感がある点がメリットです。
050番号を会社の番号として使用している企業が少ないため、050番号からの着信は警戒されてしまうこともあります。市外局番を利用するひかり電話では不信感を与えることはありません。
ひかり電話のメリット3:通話品質が安定 ひかり電話は従来の固定電話並みの通話品質が保証されており、通話品質が安定しています。IP電話の1種であるひかり電話は今までと変わらない通話品質でありながら、従来の電話より通信コストも安くなるため多くの企業で利用されています。
ひかり電話のメリット4:発信制限がない ひかり電話以外のIP電話は、同一アプリ以外と通話ができなかったり、050番号のIP電話でも110(警察への緊急通報)や119(消防・救急への緊急通報)など発信できない番号があったりするなど制限があります。
ひかり電話では110や119なども発信でき、制限なく利用が可能です。
次にそれぞれのデメリットを見ていきましょう。
6.ひかり電話のデメリット
次にひかり電話のデメリットを見ていきましょう。
ひかり電話のデメリット1:無料通話がない ひかり電話以外のIP電話は、同じアプリ間や同じサービスの050番号と無料通話ができます。一方で、ひかり電話は標準で適用される無料通話がありません。
しかし、ひかり電話をビジネスで利用する際は、ビジネスフォンと呼ばれる会社用の電話かクラウドタイプの電話と接続して利用します。ビジネスフォンやクラウド電話は社員間の通話が無料になる内線通話があるため、それほどデメリットにはならないでしょう。
ひかり電話のデメリット2:回線が必要 市外局番を利用するひかり電話は、事務所などへ回線を引く必要があります。ひかり電話以外のIP電話は電話回線不要で利用できるので、回線コスト分費用が高くなります。
ただし、従来の電話回線と比べると通話料などが安くなるため、結果としてコスト削減につながります。
ひかり電話のデメリット3:工事が必要 ひかり電話を利用する場合、ひかり電話の回線を主装置やPBXと呼ばれる装置に収容する必要があります。回線自体がなければ回線の引き込み工事を行うなど、ひかり電話を利用するために工事が必要になります。
ひかり電話のデメリット4:すぐに利用できない ひかり電話の回線がなければNTTに手配したり、ビジネスフォンやクラウド電話の契約・工事などを行ったりする必要があり、その他のIP電話の様に即日利用はできません。これから起業する方や個人事業主でひかり電話を利用したい方は早めに行動する必要があります。
7.メリット・デメリットのまとめ
- 【IP電話のメリット】
- ・無料通話がある
- ・電話回線が不要
- ・工事不要
- ・即日利用も可
- 【IP電話のデメリット】
- ・番号が変わってしまう
- ・不信感
- ・通話品質が悪いサービスもある
- ・発信制限がある
- 【ひかり電話のメリット】
- ・市外局番を継続利用できる
- ・安心感
- ・通話品質が安定
- ・発信制限がない
- 【ひかり電話のデメリット】
- ・無料通話がない
- ・回線が必要
- ・工事が必要
- ・すぐに利用できない
導入の際の注意点としては回線の引き込みの有無です。ひかり電話は利用する市外局番のエリア内で電話回線を引き込む必要があります。起業の際に事務所を持たない場合やレンタルオフィスを利用する場合、電話回線を引けないことも多いです。電話回線が引けない場合でも050を使ったIP電話であれば問題なく利用可能です。
また、今後の移転や電話番号の変更を許容するか?と言う点も注意が必要です。050番号を利用していればどこへ移転しても電話番号が変わりませんが、ひかり電話の場合は、市外局番が変わる地域へ事務所を移転すると電話番号が変わります。会社の成長に合わせて移転を計画している・会社の電話番号は変えたくないと言った際は050番号の検討をしてみると良いでしょう。
8.ひかり電話も050番号のIP電話も利用できるクラウド電話
クラウド電話とは、従来事務所などへ設置していた主装置やPBXと呼ばれる装置で実装していた機能をクラウドで提供する電話サービスです。クラウド電話はクラウドPBXとも呼ばれます。

クラウド電話は050番号でも市外局番でも利用できます。050番号であれば他の050IP電話サービスの様に工事無しで比較的早く利用を開始可能で、既存の市外局番を引き継いで利用する場合は、事務所へ番号を利用するためのゲートウェイを設置すれば、そのまま利用する事ができます。
9.高音質のIP電話は?
一般的なIP電話では、1ヶ所のデータセンターへ接続が集中する為、時間帯によっては通話が不安定になる場合があります。
IP電話「MOT/TEL」が高音質・高安定の理由は、日本全国にエリア専用データセンターを設置することで、安定した通話を提供しています。

MOT/TELは官公庁、上場企業にも多数導入されている信頼のクラウド電話システムです。
- ・特許庁
- ・群馬県庁
- ・静岡県庁
- ・マルコメ株式会社
- ・株式会社鈴廣蒲鉾本店
- ・株式会社相鉄ホテルマネジメント
- ・一般社団法人Tリーグ
- ・住友重機械精機販売株式会社
- ・株式会社メディロム(Re・Ra・Ku)
- ・第一精工株式会社
- ・岩崎電気株式会社
- ・株式会社ポケットコンシェルジュ など(敬称略)
2023年3月14日 9:25 AM | カテゴリ: クラウドPBXの基礎知識 関連キーワード: 050, IP電話, デメリット, ひかり電話, メリット, 比較